綾野法律事務所

境界紛争

1.土地は「筆」という単位で取り扱われています

民法第177条は、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定めているため、売買等で土地を取得した人は、必ずその結果を登記に反映させる必要があります。

そして、不動産登記法は、一筆の土地ごとに地番を付し(不動産登記法第35条)、一筆の土地ごとに登記記録を作成すると規定している(不動産登記法第2条5項)ため、土地の取引は一筆を最小限度の単位として行われています。

2.筆界と所有権界

筆界とは、登記所によって地番を付された一筆の土地と、その隣接地との間の境界のことをいいます。

筆界については不動産登記法第123条1号が定義規定を設けており、これによると筆界とは「表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線」です。

筆界は、登記所が一筆の土地として扱っている土地の範囲を画するものなので、公的な性質を有しています。そのため、隣接地の所有者同士で勝手に筆界を線引きすることはできません。

これに対し、筆界と混同されがちな概念として所有権界(不動産登記法第132条1項5号参照)というものがあります。所有権界は、土地の所有権という私権が及ぶ範囲を画するものなので、隣接地の所有者同士で自由に線引きをすることが可能です。このような性質の差異から、筆界は公法上の境界、所有権界は私法上の境界と呼ばれることがあります。

前述のように、土地は一筆を単位として取引され、一筆の土地の範囲は筆界によって画されます。従って、筆界と所有権界とは一致するのが原則ですが、一筆の土地の一部が取引された場合や、一筆の土地の一部が時効取得された場合は、筆界と所有権界との間にズレが生じます。このようなズレが生じた場合、分筆という手続でズレが生じている部分に新たな地番を与え、一筆の土地を創設した後に所有権移転登記手続を行うことで筆界と所有権界との不一致を訂正することが可能です。

実務では、隣接地の所有者同士で「筆界確認書」という書面を作成することがあります。前述のように、筆界は隣接地の所有者同士で自由に線引きすることができませんので、「筆界確認書」は厳密にはその名に反し筆界を確定させる力までは有していません。

3.筆界の成り立ち

不動産登記法第123条1号によると、筆界は「当該一筆の土地が登記された時」にその位置が決まることとなりますが、この文言の意味について、”不動産登記法等の一部を改正する法律の施行に伴う筆界特定手続に関する事務の取扱について”と題する通達には以下のとおり定められています。

【通達の抜粋】

「当該一筆の土地が登記された時」とは、分筆又は合筆の登記がされた土地については、最後の分筆又は合筆の登記がされた時をいい、分筆又は合筆の登記がされていない土地については、当該土地が登記簿に最初に記録された時をいう(通達1)。

上記の通達のうち後者は原始筆界と呼ばれており、明治時代に行われた地租改正事業の時に形成されたと言われています。

明治6年に開始された地租改正事業では、土地の所有権者の立会のもと隣接地との境界(実質的には所有権界)を確認し、地番を付した一筆限図やそれを字単位でまとめた字限図、村単位でまとめた村限図などの図面(これらは改租図と呼ばれています)が作成されました。このときに改組図に示された線は、実質的には所有権界を示すものでしたが、これらの線に囲まれた土地に地番が付されることによって一筆の土地が生まれたため、改租図に示された線は筆界としての意味も持つこととなります。

また、改組図を作った時期と、登記法及び不動産登記法の下で当該土地を一筆の土地として登記した時期との間には時間差がありますが、改租図に示された線は、その後変更がされない限り、当該土地が一筆の土地として登記された時の筆界(原始筆界)に一致すると考えられているようです。

4.筆界特定制度について

筆界の問題を解決する方法には、筆界確定訴訟の他に筆界特定という制度があります。

筆界特定は、筆界特定登記官に対し筆界を明確にするよう求める手続で(不動産登記法第131条)、筆界特定の専門家である筆界調査委員が必ず手続に関与し(不動産登記法第134条)、筆界調査委員の専門的意見を反映した判断が行われるという特徴があります(不動産登記法第143条)。

筆界特定の手続では、筆界特定の結論及び理由の要旨を記載した筆界特定書が作られますが(不動産登記法第143条1項)、筆界特定は筆界特定登記官の認識を公に表明する行為にすぎないため、行政処分(行政事件訴訟法第3条)には該当せず、筆界を法的に確定する効果はないと考えられています。従って、筆界特定書が作られた後も、筆界確定訴訟を提起してその内容を争うことができます。ただし、筆界特定書は、公的機関が専門家の判断をもとに作成する文書ですので、その内容と異なる判断を裁判所にしてもらうのは容易ではないといえます。

5.境界紛争事件の弁護士費用

着手金 40万円~60万円
報酬金 着手金の1.5倍の額
※別途消費税がかかります
☎︎ 06(6415)7735
<受付>平日 9:30~22:00

まずはお気軽にお問い合わせください。

Copyrights,©AYANO LAW OFFICE All rights reserved.